一蘭の話

書くことがないので一蘭の話でもしようかと思う。

 

一蘭といえばラーメンを食べる人なら一度は聞いたことがある名前だと思う。福岡に本社があるとんこつラーメンの店である。

 

僕は福岡出身だが学生の頃は京都に住んでいて、週に2回はラーメン屋に行っていた。色んな店のラーメンを食べてきた人間から一蘭の感想を言わせてもらうなら、「面白くないとんこつラーメン」だと思う。

 

本格的なとんこつラーメンの店はとにかく臭い。ラーメンが、ではなく店が臭い。なんなら店の前の通りが臭い。食べた後の口も服も臭い。しかし臭い店は大体美味い店だ。

一蘭は店も、店の前の通りも、食べた後の服も、臭くない。ラーメンも自分の中では全く気にならない臭さだと思う。

 

 

僕の住む太宰府には駅前に一蘭の店がある。

太宰府といえば太宰府天満宮がとにかく有名で土日はもちろん平日も観光客が多い。そうなると当然駅前の一蘭は毎日行列が出来るのだが、僕もラーメンが食べたくなった時、たまにその行列に加わる。

並んでる人の会話が聞こえてくるが「臭いね」という感想は聞いたことがない。しかしその太宰府店は別の意味で「臭い」のである。

 

太宰府天満宮が学問の神様(らしい)の菅原道眞を祀ってる影響で全国から受験生が祈願にくる。一蘭太宰府店はそれに乗っかる形で店がとにかく願掛け思考なのだ。

 

まず店に入った瞬間「幸せをー!」と言われる。

何が?

 

知っている方も多いと思うが一蘭の席は特殊で、全てカウンター席になっており自分のスペースがつい立てで区切られて周りから見えないようになっている。そこにコップや水が出る蛇口などがそれぞれ全ての席に完備してある。「味集中カウンター」というらしい。カウンターに名前を付けるんじゃないよ。

 

で、水を注ぐのだがコップがかなりでかい。でかいな〜と思って壁を見てみたら「TALL(通る)コップ」と張り紙があった。受験に通るということだろう。ラーメンを食べにきたらオヤジギャグを聞かされた。

ラーメンはすぐに届く。これまた一蘭独特のシステムで目の前は巻き簾になっており、そこから店員がラーメンを差し出すのだが店員の顔は一切見えず身体しか見えない。そんなシステムがあるか知らないが、風俗みたいだな、と思った。一蘭はラーメン界の風俗だった。

 

ラーメンを差し出す時に店員が「合格です!」と言う。再び 何が? と思ったがそういえば頼んだラーメンは「合格ラーメン」という名前だったと思い出した。丼を見ると、五角形の丼だった。五角、合格、合格ラーメン。まさかのオヤジギャグパート2。アプローチの仕方を変えてくるんじゃない。二段構えとは恐れ入ったが、心が徐々に疲れてくる。

 

味は前述したが面白くないとんこつラーメンといった感じ。臭みはないがとんこつラーメンとしてとにかく「並」である。どこにでもあるような味。不味くはない。

 

と言いつつスープまで飲んでいると丼の底に文字がうっすら見えることに気付いた。何だ?と思いスープを飲み干す。出てきた文字は「決定」だった。三段オチだった。流石に笑ってしまった。

 

普段の食後以上に疲弊した気持ちで店を出る。

すごかったな、と思い店を振り返り壁に書かれた文字を読んだ。

 

「細く長くのお付き合い、つるつる(鶴)噛め噛め(亀)、縁起良し」

 

やかましいわ、と思った。

 

終わりです。