怖い思いをした話

 

 

以前ツイッターに載せたのだが、小学校低学年くらいの頃に怖い思いをしたことがある。

 

ある日、家から自転車で30分くらいのところにある山へと続くキャンプ場でどうやら自殺があったらしいと噂が回ったことがあった。

僕が住んでいる町は今でこそ観光客で賑わっているが、当時は何の見所も無い静かな町で、そんな小さな町で起きた突然の事件にクラス中が沸いた。

当然のように様子を見に行く流れになり、同じクラスの10人くらいで学校が終わってからそのキャンプ場へと向かった。キャンプ場は普段から小学生の遊び場になっていたので、みんな慣れた足取りでキャンプ場から少し外れた雑木林に集合した。リーダー格の男子が「みんなで手分けして現場を探そう!」と仕切り、全員散り散りになってから現場を探し始めた。

 

自殺があったらしい、と言いながらどのような方法や場所で行われたかは誰も知らず(今考えると誰が噂を流したのだろうか)、適当に林の中を探ったり、少し山の上の方まで登ったりしたが、一向に形跡は見つからずあっという間に30分程経過してしまった。

小学生というのは物事にあっという間に飽きる性分で、みんな口々に嘘なんじゃないか?飽きてきた、などと言い始め次第に諦めて集合場所にどんどん戻ってきた。

探し始めたのが既に夕方だったので、辺りも暗くなってきており、全員が集合したタイミングで「誰が言い出しっぺだよ」など文句を言いながら暗くなってきたしそろそろ帰ろうよ、と全員で上を見上げると、集合場所の目印にしていた1番高い木のてっぺんに首吊り用の形になったロープが枝に掛かっているのを見つけた。

 

ギャア!と一斉に悲鳴をあげて雑木林から逃げ出し、全員自転車で一目散に家まで帰ったのだった。

 

この出来事を思い出してからネットで ○○(町の名前) キャンプ場 自殺 などで検索してみたのだが何の情報も出ず、ひょっとして自分の記憶違いなのでは?と思ってきたので、先日ちょっと時間が出来た時にその雑木林まで十数年ぶりに行ってみた。

キャンプ場は今はほとんど使われていないのか、入口のところにはチェーンが張られており、車を入口のところに停めてカメラ片手に徒歩で向かった。

記憶を頼りにしてキャンプ場から外れた雑木林に入って行き、背の高い木を探した。

 

10分程でその木を見つけた。

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真ん中の木である。

当時の感覚ほどその木は高くなかったが、記憶の中で見た木の形と全く同じでここだと確信した。

自分の記憶は正しかったことが分かり、なんだか嬉しく懐かしくなり数枚の写真を撮ったあと雑木林から出て帰ろうと車へと向かった。

 

自分の車の隣に男性が1人立っていた。車の隣で微動だにしない。

内心めちゃくちゃびびりながら男性に声をかけた。

 

「これ君の車か。違法駐車よな。ここうちの前なんよ。迷惑すぎるよな。もう警察に連絡したから。謝っても無駄だから。諦めてな。」

めちゃくちゃ怒っていた。早口でめちゃくちゃ怒られた。終わったと思った。

そのキャンプ場はそこそこ山の奥にあるので警察が来るまで20分程かかるとおじさんにキレながら言われた。非常に気まずい。とりあえず車を動かそうとしたらおじさんに車に乗るなと言われた。逃げると思われたのだろうか。おじさんは誰も信用しなかった。

信用されてないのに、警察を待つ間なぜかおじさんは自分の職業と職場を怒りながら説明してくれた。何で?普通は僕の職業とかを逆に聞くんじゃないのか。そうなんですね、とにかくすみませんでした。とひたすら謝った。自分が悪いのだが、地獄のような時間だった。

 

警察が到着した。パトカーかと思ったら原付で1人だけ来た。

到着した瞬間におじさんは警察にキレまくった。またやられた、早く看板を設置してくれ、など早口で文句を言った。

警察はおじさんをなだめてから、どうされたんですか?と優しく聞いてきた。僕はとっさに「うんちが我慢出来ずにキャンプ場のトイレを使っていました」と説明した。実際帰りしなにトイレに寄ったので嘘は言ってない。

それを聞いた瞬間おじさんは嘘みたいに怒りを収め、まあこの辺りトイレとか無いからな、と同調してきた。うんちに対して優しすぎる。とりあえず許してもらうことが出来た。

家に帰った時はもう真っ暗だった。違法駐車を二度としないと心に誓った。

おじさんすみませんでした。

 

終わりです。